富士の叫び 
 FLASH 
 特 集 
 視 点 
 くみあい百景 
 ワンポイント 
 編集室だより 



特 集



定款の確認をもう一度!

 脱退予告期限は、九〇日以上一年以内の範囲内で定款に定めなければなりません。多くの組合では九〇日、官公需適格組合では、一年としているケースが多いかと思います。
 こうして、脱退しようとする組合員は、定款に定められた予告期限以前に脱退届けを組合に提出しなければなりませんが、その後の組合費の支払いや議決権の扱いについて、しばしばトラブルが発生することがあるようです。

事業年度末まで権利義務はそのまま

 脱退届けをした組合員も、脱退の効果が生じる事業年度の終わりまでは、それまで通り組合員としての権利義務を有します。
 したがって、組合は総会や各種会合の通知はもちろん、役員としての任免などにおいて他の組合員と差別的扱いをすることは許されません。
 同時に組合員もまた、脱退届けを出した後といえども賦課金納入義務を免れることはできず、その事業年度末までは依然、各種の負担義務を履行しなければなりません。
 事業年度末以後は、組合員たる地位を失うわけですから、(その持分を確定する)事業年度終了後の総会に出席して組合員権を行使することはできないことになります。

組合員の除名の扱い

 長く賦課金の支払いが滞っている組合員がいるため、除名にすべきとの声があがっていますが。

 あまり扱いたくはない件ですが、事がことだけに、しばしば相談を受ける問題の一つです。
「除名」とは、組合員の意志に反して、その組合員たる地位を剥奪することですから、やり方によっては、その後の組合の運営に大きな影響を及ぼしかねません。法もその慎重な運用を期して、除名原因とその手続きを詳細に規定しています。除名の決定にあたっては、過去の取扱い事例などを参考に慎重に検討することを要します。

除名の原因

 代表的な除名原因には、次のような事項があげられます。(法及び定款参考例より)
(1)長期間にわたり組合の施設・事業を利用しないこと。
(2)出資の払込みや賦課金等経費の支払いをしないなど、組合に対する義務を怠ったこと。
(3)組合の事業を妨げ、又は妨げようとしたこと。
(4)組合の事業の利用についての不正行為。
(5)犯罪その他信用を失う行為。

必要とされる慎重な手続き

 除名について総会にはかろうとする場合には、組合はその組合員に対し、総会の会日の十日前までに、除名の理由及び総会において弁明すべき旨を通知するとともに、総会において必ず弁明の機会を与えなければなりません。
 通知したにもかかわらず本人が欠席した場合には、弁明の機会を自ら放棄したものとして、あらためて弁明の機会を与える必要はありません。
 除名のための通知は、組合員名簿に登載されている住所宛にすれば足り、本人が所在不明の場合でも通知したうえで、本人不在のまま総会を招集して除名の決議を行ってよいとされています。ただし、除名が総会において議決されたときは、除名した旨をその組合員に通知しなければ対抗できないとされています。この除名通知は、後日の紛争を避けるために内容証明郵便で送付しておくことが望ましいでしょう。


中小企業静岡(2003年 3月号 No.592)