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求められる″決定力ある決断″


 「学業成績もよく、人間性もシッカリしているのに、前に出ようとしない。リーダーシップもとろうとしない。コンパなどをやっても、会の雰囲気を盛り上げようとする学生が極端に少なくなった」。
新しく県立大学の経営情報学部長になられた宮下教授の″最近の大学生気質″への述懐である。とくにバブル期以降にこうした傾向が目立つという。
ところがである。昨年あたりから風向きが変わってきたという。その原因を考えてみると、数年前までは、四年生の夏休みには、多くの会社から内定をもらい、選り取り見取りで優雅な夏を過ごしていた。
当然のことながら、昨今はそうはいかない。したがって目つきもキツクなり、顔も引き締まってきているのがわかるという。
このことは、若いときに、温室育ちをさせるのは、人間性確立のうえから、マイナスとなることを裏付けている。
ところで、中小企業者の顔付きはどうか。
景気が厳しいわりには、真に迫った険しい顔付きの人が意外に少ないようにみえるのは、どうしたことであろうか。
今は赤字ながらも、まだそれなりの蓄えが残されているためか。イヤイヤ、すでに開き直って道化師を装っているのか。
いずれにしても、現下の最悪の条件のもとで、我々はいかに対処すべきか。
W杯でもいわれた″決定力不足″は、サッカー界のみのことではない。他国と国境を接しない島国であり、気候温暖で生活水準も高い。そんな温室育ちのため最後のツメの甘い国民性を指摘する声も強い。
サッカーはさておき、我々中小企業はどうであろうか。
いまこそ、企業の存亡を賭け一八〇度の方向転換も視野にいれた″決定力のある決断″が、大小を問わず全ての企業に、強く求められている時である。

静岡県中小企業団体中央会・会長

中小企業静岡(1998年 8月号 No.537)