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緑豊かな環境に囲まれて 浜松市から、天竜方面に北上するこ と車で一時間。緑の森に囲まれた自然豊かな天竜市に位置する組合が、今回御紹介する天竜プレカット事業協同組合である。 この組合は、昭和五九年七月の農林水産省の「広域林業構造改善事業」の全国一号の指定を受けて、地域林業の振興、治山治水、国土保全及び地場の「天竜杉」の付加価値を高める事を目的に設立された。 同時に国、県などの前記事業補助金を利用して住宅用構造材のプレカット加工設備を設置した。 ここでいうプレカットとは、住宅用の木材を工場などで裁断、接合部加工、貫穴作業などあらかじめ加工することである。 この設備は、コンピュータ(CAD・CAM)を駆使した最新鋭加工システムであり、一日に四〇坪級の家で四〜五棟分の住宅用構造材の加工が可能。その精度とスピードは抜群である。 現在工場内には三六人の従業員が従事し、現在四ラインの機械が稼動している。 組合員は、六つの森林組合、四つの木材団体、二三の関連木材企業の三三の組合員で構成されている。 |
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ISO9002を取得 主な組合事業は、共同加工事業である。 これは、組合員が製材した木材を組合がお客様(工務店・施主)の要望に応じて乾燥・プレカット加工するものである。組合の特徴は、 組合員業種が、地域の木材関連業によって構成されている。 ●充実したスタッフの存在(平均年齢が三七歳と若い) ●「天竜の家」の普及促進 ●太陽熱を利用した低コストの木材乾燥システムの設置である。 乾燥システムは、全国で初めての取り組みであり、この設置によりコストの半減を図ることができた。 また、この加工作業をする上で、品質管理の徹底は、組合として必須の課題である。 この課題を乗り越えISO9002を取得した。「一部上場企業内のプレカット工場では既に取得しているが純粋なプレカット工場、また事業協同組合では、初めてである」(高木専務) この規格ISO9000シリーズは、製品そのものの規格ではなく、製品を作り上げていく過程での供給者の品質管理能力を定められた項目に照らして審査し、それが規格に適合し、かつ確実に実行されていることを確認し、認証を与えて登録する制度である。 取得のためには二〇項目があり、ISOの規格に定められた項目(トップが品質等に対して問題点を把握して指示する事や従業員がこれを正確に把握し、指示を受け入れる事等)に対し一年余に及ぶ準備期間の後、審査の厳格さでは、世界一といわれているUKASに所属する審査登録機関であるCI社による審査を平成十年一月に受け、二月二六日付で認証の登録を行った。 |
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▲常に顧客の要望を満たす商品作りを目指す。 |
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業界の中で、差別化戦略を図る 「デベロッパーやお客様からは、その実績と取得方法について質問が相次ぎました。その反響の大きさにびっくりするとともに、今後注目される事を励みにしていきたい」(高木専務) これは、長年にわたる組合の品質向上への取り組みが認められたものであり、静岡県内で先駆けて設置されたプレカット工場であるが、現在は、プレカット加工業者が八〇〇を越えて、業界では木材住宅の不況に加えて、過当競争の時代である。 「業界の中で差別化戦略を生み出し、さらにバージョンアップを目指している」(小松事務局長) 現在は、住宅生産が伸び悩む中で、組合として新たな経営戦略が必要になった。その中で、林材業界では、品質の国際規格であるISO9002を取得することは今後必要不可欠である。 「新たな生産・販売システムを構築することを目指し、地域の振興・発展に貢献する。 同時に、これからも消費者が何を求めているか、エンドユーザーの立場になって常に把握し消費者ニーズにあう住宅部材を供給していく」 (高木専務) 木材を取り巻く環境は、需要供給を含め大幅に変わりつつある。 組合では、地場産業の振興と地域振興の立場から、住宅部材の供給のみに終わらず、高付加価値化を考えた最終製品作りまで、産地全体で取り組まなければならない。 組合では、その中でいち早く品質管理に取り組み、多くの人に知ってもらうように活動を続けていく。 |
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