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画竜点睛を欠くことのないように

 不況が長期化する中、中小企業の少産多死という由々しき現象が続いている。
 戦後の日本経済は、次々と生まれる中小企業が活力を注入してきた。そして今、新しい企業の創出が経済活性化のカギを握る時代となった。
 そうした折、静岡県が「しずおか夢起業支援事業」の一環として力を入れてきたインキュベートセンターが、静岡と富士でもあいついで開設した。
 浜松都田、沼津とあわせ県内四カ所にインキュベーターが出そろったことになる。言うまでもなくこれらが有機的に機能すればベンチャービジネスのスタートアップはかなり容易になる。
 このインキュベーター、思い返せば私の親友である富山の田中儀一郎君が全国に先がけて取り組み、私もその必要性について、石川知事にかねてから提言申し上げてきただけに感慨深いものがある。
 さて、企業を受け入れる器は完成をみたが、肝心の入居者を育てるという機能が発揮できなければ、画竜点睛を欠くことになる。
 これからは入居者が実践の中で経営のノウハウや技術を学ぶことへのサポートが是非とも必要となってこよう。
 それに加え、大切なのはインキュベーターは五年の期限付入居。卒業し、ひとり立ちする時、ヒト、モノ、カネ、情報という経営資源に乏しい卒業者への支援が欠かせないところである。一本の木に出た芽を成長させるまで、周辺からの支援が一層重要になってこよう。
 静岡は多くの起業家を輩出している。挑戦する中小企業者の中から第二、第三の本田宗一郎が生まれることを願って止まないところである。

静岡県中小企業団体中央会・会長

中小企業静岡(1998年 5月号 No.534)