昨年、静岡県が「アメリカ・カナダ」に調査団を派遣

海外の労働事情を調査

 海外の労働事情やセクシャルハラスメントの状況などを調査するため、昨年10月25日から11月2日の9日間にかけて、「静岡県海外労働事情調査団」が、アメリカ、カナダの2カ国を訪問した。静岡県が主催して編成されたこの調査団には、県内に事務所を置く労働団体や企業の代表者、県当局など7人が参加、本会からは、鈴木良業務部部長代理が同行した。訪問先のアメリカでは、人種差別や女性に対する暴力の終結を目的に活動する女性団体「全米女性協議会アトランタ支部」や日系進出企業「ユニシアジェックス社」などを訪問したほか、カナダの「トロント商工会議所」を含6カ所を訪ね、現地担当者と意見交換した。

▲カナダ・トロント商工会議所で
意見交換する調査団一行  

人権法にセクハラを規定

 このうち、「トロント商工会議所」では、女性に対する雇用の機会均等法と、セクシャルハラスメントに対する考え方を調査した。
 カナダにおける雇用の機会均等法は、基本的要件を定めた「ミニマムスタンダード法」と、男女の別、人種などに関わらず、雇用面で同等の扱いを受ける権利を規定した「人権法」の2つから構成される・セクシャルハラスメントは、人権法の中で、セクシャルハラスメントを受けない権利や、「ハラスメント」の基本的な定義などが明文化されている。
 しかし、具体的な行為の中でセクハラかどうかを判断することは、その行為を受けた時の状況や被害者の感じ方によって大きく違う。したがって同商工会議所では、セクハラに関するトラブル防止策として、雇用主に対して、セクハラに該当するケースを明確にするとともに、苦情の取り扱いを明らかにするなどのルールを社内に確立するよう指導している。
 わが国でも、「男女雇用機会均等法」が平成11年4月に改正されるが、セクシャルハラスメントについては、事業主の配慮義務が新たに規定される。
 男女問わず全従業員が気持ちよく仕事ができる環境づくりのために、”セクハラ問題”は、今後注目すべきポイントとなりそうだ。

 


中小企業静岡(1998年 3月号 No.532)