急増するネットワーク化要求
一昨年の年末、著者は単行本を1冊書き上げることができた。しかし、昨年は「師走」の言葉どおりクリスマス当日までコンサル業務に携わっていたため、約束した本を書き上げることができなかった。
理由は御明察どおりネットワーク化指導依頼や診断依頼の急増である。
かつては「情報化投資なんて」といっていた事業者まで社内LANの構築を目指すようになった。
その原因を分析した結果、以下のような結論に達している。
1.パソコンの低価格化・高機能化
10年前3億円した大型コンピュータの機能を20万円のパソコンが上回る。このパソコンの低価格化・高機能化の実現は情報化投資を可能にするための見逃せない要因である。
2.ビジネスの単ライフサイクル化
見積書の提出や予約の受付などビジネスのライフサイクルが短期化した。たった1時間見積書提出が遅れただけで、仕事を受注することができない事態もありえる時代になった。
3.価格競争の激化
診断先企業経営者から「仕事量は変わらないのですが、受注単価が低下している」という言葉をいただく。タイトな予算統制を現実化するためにコンピュータは不可欠である。
経営者が、ネットワークの機能を完璧に理解しているかは確かに疑問。
しかし、カンのいい経営者は「ネットワークは企業経営基盤に必須だ」と確実に考え初めている。
重要なパートナー選び
ネットワーク化は、特殊な技術が必要なため、ベンダーとかシステムインテグレータといった専門家に作業を依頼する。
ここで重要なことは、ネットワーク化には良いパートナー選びが不可欠だということである。
先だっても、ある企業のネットワーク企画書を拝見して思わず仰け反った。企業の基幹業務を担う重要なネットワークに粗悪な安価品キットが提案されていたのである。
ここで重要なポイントは以下のとおりである。
1.安価キットに手を出すな
物には適正な価格がある。最初から、ベンダーに安い予算を提示すると安価キットを提案してくる。セットには普及品、標準品、お値打ち品があることを知っておくべきである。
2.見積は合ミツで
知り合いの業者だけに頼ると選択の余地がなくなる。判断基準は価格よりも品質。最低でも3社以上の見積と説明を受けるようにしたい。
3.専門家を会議に参加させよう
ネットワークの負荷、すなわちコンピュータに与える作業量は日別、時間別に流動的に変わる。この負荷が過大になるとハングといってネットワークがにっちもさっちもいかなくなる。これは、電話が込み合ったとき通話できないのに似ている。
ところで、中小企業のネットワーク化需要に対応するための中央会施策として「情報ネットワーク化現地指導事業」という補助枠がある。
これは、ネットワーク化を目指す組合に中央会が専門家を派遣し、専門的な立場からアドバイスする制度。
ネットワーク化を企画する組合にとって耳寄りな制度といえそうだ。
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