絶対、不変への挑戦
静岡県中小企業団体中央会・会長
 昭和二四年に中小企業等協同組合法が制定され、五〇年にならんとしている。
 半世紀の歴史の中で、組合制度が中小企業振興に果たしてきた役割は実に大きいものがある。
 しかし時代が動けば、組合員である中小企業にも変化が求められる。そして当然のこととして、それを運用する法律や諸制度に手を加える必要が生じてくる。
 このほど、遊休資産に対する員外利用制限の緩和、組合員の新分野進出への支援の二点について、十四年ぶりに法改正がなされた。
 私も中小企業政策審議会組織小委員会の委員として、その改正に向け中間報告をとりまとめ、積極的に政府に開陳申し上げてきた。このような法改正の折に、常に考えさせられたのは組合法原則の問題である。
 組合制度の原点―――。それは一八四四年、ロッチデール公正開拓者組合の誕生に伴い築かれた「ロッチデール原則」である。
 すべからく組合は、長い歴史の中で培われたこの理念を忘れてはならない。しかし一方で、この原則から生まれた諸制度の中には、今の時代にあって不都合を生じるものがあることも事実である。
 私はロッチデールの原則を狭義に解釈するのではなく、実態にあわせた中で幅広く捉えるべきことを大いに主張してきた。
 組合も従来の補完的役割だけでなく、果敢に挑戦を試みる戦略的役割を強く求められている。
 私としても、今後、あらゆる場面において、「絶対・不変」という言葉を過信することなく、時代を精査した中で、かえるべきはかえていくという姿勢を貫く決意である。


中小企業静岡(1998年 2月号 No.531)