google

視点・指導員の現場から

環境変化を捉えて、次世代ITの有効活用を

パソコンスクールの挑戦

静岡市内のパソコンスクールが昨年夏、ホームページ制作部を立ち上げた。全くの「畑違い」ではないにしても、なぜ今更ホームページ作成なのか?発端は、若手社員からの提案だった。「実際に企業や商店を訪問すると、ホームページは持っているが更新していない、業者があてにならない、メリットを感じない、といった声が数多く聞かれました。だからこそ、顧客のニーズに合わせたサイト作りに、まだまだビジネスチャンスも多いはず」とWeb制作を任された若手社員は話す。

随分日常生活に浸透したとはいえ、インターネット業界は未だ進行形だ。ITバブルを経験し、制作業者の淘汰もあったが企業のWeb開設もひと段落し、今後は広告媒体としての活用、ページビューやアクセス件数拡大に重きが置かれる。「首都圏と比べ、地方のIT利用に関する意識はまだ低い。技術は進歩しても、利用するのは人。相手のところへ足を運び、要望に耳を傾け、提案をする。営業してこそ、培った専門技術が生きる」と若手社員は付け加える。

環境変化を捉える

インターネットが登場して約10年。ブロードバンドやモバイル機器の普及により、インターネットは企業が資金と時間、専門知識を駆使した「少々お高い」情報発信から、ブログのように利用者の「手軽な書き込み」調にまで利用の幅を広げた。商品に対する消費者のコメントすらネット上に集積され、キーワードひとつで検索される。あたかも、ネット全体が巨大なデータベースのようだ。「集合知」といわれるように、多くの人が知識を持ち寄り、共有して利用するほどサイトの魅力も向上する。

しかし、同時にウイルス感染や情報漏洩、風評被害などのリスクも背負い込むこととなった。ホームページへの書き込みひとつで、予約が減ったという事例も聞く。便利さの裏で、使い方次第で思わぬ事態を引き起こすこともある。

中小企業の情報化

従来の「情報を受け取る」だけだった人も自然と「情報を発信する」ようになり、ネットは消費者同士や企業がコミュニケーションできるメディアにまで成長した。中小企業は、こうした環境 変化をどう認識しているだろうか?ITの進歩は情報活用の手段であって、自社にとって適切な利用ができているか、今一度、お考えいただきたい。情報化=電子化ではない。

大切なことは、自社の特性と取り巻く環境変化を理解すること。そして今後、何が起こるかを推測することではなかろうか。例えば、既存ホームページを更新が容易なブログ形式に変更し、省力化と情報の鮮度アップを図る。地道な更新作業の繰り返しが口コミで広がり、ライバルに差をつける秘訣になるかもしれない。

世代ITの活用とリテラシー向上。その相乗効果は、必ずや企業が思い描く将来ビジョン実現に役立つものと確信する。

(三宅)