大きく変化する宿泊需要
当組合の前身は、静岡駅周辺の旅館十数軒により、大正10年に発足した静岡市旅館組合に遡る。昭和26年、静岡観光旅館協同組合として法人化され、47年、静岡市旅館協同組合に。更に平成3年には現称である静岡市ホテル旅館協同組合に改めた。その変遷が、そのまま静岡市の宿泊業界の歴史を示している。
この間、多くの宿泊需要は団体から個人へ、旅館からホテルへ、さらに「シングル化」へと変化してきた。プライバシー意識の高まりや生活様式の洋風化、価値観の多様化などがその背景にある。
合員の施設は大別してホテルと旅館の二つで、現在、前者が28軒、後者が19軒稼動している。宿泊人員は、ここ10年間ほぼ一定をっているが、形態別に見ると、ホテルは施設数、宿泊人員とも増加している一方、旅館はそれぞれ大きく減少している。
イベントを仕掛け宿泊需要の拡大を
組合では需要掘り起こしを図るため、大会・イベントの企画や誘致、観光協会や行政とのタイアップによる観光振興に力を入れる。
事業委員会を中心に組合が運営に携わる大会・イベントは、サッカー大会を中心に十指を下らない。これら関係者の宿泊を組合が一括で受け、組合員に割り当てる「配宿事業」による宿泊人数は毎年1万人に達する。
その一つ、今年12回目を数える「新春高校サッカー静岡大会」は、地元静岡の強豪校をはじめ全国の有名校を多数招致。合せて30チームが1月3日前後の3日間、静岡市内の各会場で熱戦を繰り広げる。回を重ねるにしたがい、知名度も高まり、全国的にも注目を受ける大会に成長した。決勝戦には多くの組合員が会場にかけつけ、優勝トロフィーを理事長が授与するなど、いまや組合は実行委員会の中心的存在である。
「いずれは、小笠山総合運動公園(「エコパ」)や日本平スタジアムなどで決勝戦を開催し、『高校サッカーの甲子園』として全国のサッカー少年憧れの大会にしたいですね」と就任2年目、竹内輝(あきら)理事長の夢は大きい。
一方、世界各国から100名を超える大道芸パフォーマーが参加し、4日間で200万人の観衆が静岡市を埋め尽くす「大道芸ワールドカップin静岡」。これも平成3年の初開催以来、組合が運営の一端を担う一大イベントである。
「今でこそ、秋の風物詩として静岡を代表するイベントに成長した『大道芸ワールドカップ』ですが、定着するまで10年かかりました。しかし、本当に面白い企画ならば確実にリピーターが付く。組合が組合員に配宿するのは、パフォーマーやスタッフの約700名分ですが、組合員が受け入れる観光客は、数十倍に達することは間違いないでしょう。その効果は計り知れません」と組合の観光企画委員長も兼ねる久保田隆副理事長は感慨を込める。
こうした組合員一丸となった取り組みが高く評価され、平成17年の県中小企業団体中央会表彰式典で組合は関東経済産業局長表彰を受賞した。 |
全国的にも注目を受ける「新春高校サッカー静岡大会」の大会要項
組合事務局は女性3人。事務主任荒川さん(写真左)をはじめ、事務局職員に対する組合員の信頼は厚い。
「静岡の魅力を全国に発信することが、業界の活況につながる」竹内理事長
「面白いイベントは、絶対に根付く。そのために組合が積極的な仕掛けを」久保田副理事長
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