静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2006 May No.630 平成18年度税制改正と中小企業等への影響公認会計士 青木隆知 Q.平成18年度税制改正の主な改正事項について解説して下さい。また、この中で中小企業等への影響も併せて教えて下さい。 A.4月1日より、18年度の税制改正が施行されました。また5月から新会社法も施行されることと併せて、中小事業者にとっては影響が大きな改正といえます。厳しい財政状況の中、個人所得税関係の見直しとあわせて負担の増加が求められています。 法人税関係1.役員報酬等の改正役員が会社等から受け取る金銭等は会計上、役員報酬、賞与、退職金という区分のもとに税務もそれに対応した取扱がなされていました。5月から施行される新会社法では、計算書類としての利益処分計算書が廃止されたため、一定の手続をふめば役員賞与も随時支払が可能となっています。職務執行の対価であるという認識のもとに役員に対する業績連動型の賞与も会計的には費用性が認識されることとなりました。税務上の取扱については、従来は過大でない定期支給分については原則損金算入が認められ、臨時支給については、利益処分的な性格であるという認識から損金不算入の取扱となっていました。 今回の改正では、あらかじめ定められている役員の報酬と賞与については、一定の要件のもとに損金不算入が認められることとなっています。定期支給の報酬については、従来の取扱と比べ特段の違いはないと思われますが、賞与の取扱については大きな改正点であるといえます。は、従来の取扱と比べ特段の違いはないと思われますが、賞与の取扱については大きな改正点であるといえます。 役員賞与が損金不算入として認められるためには、所轄税務署長への事前届出と、実際支給額の差が無いか等により、損金不算入か否か判定されるため、十分な検討と業績の見通しが必要となってきます。 またこの取扱は同族会社の役員については適用されないので注意が必要です。 2.実質一人会社の社長給与所得控除分損金不算入同族会社の持ち株割合が90%以上で常勤役員の過半数がその同族関係者である場合の、主宰者(一般的には社長)の給与については一定条件以外の場合には、給与所得相当分は損金不算入とされました。 1.新設された制度は中小企業にとっては厳しい内容の制度ですが、次の要件に該当する場合には適用除外とされます。同族会社の所得と損金不算入された主宰者の給与の合計額が直前3年間で年平均800万円以下であるとき 2.会社の所得等の直前3年間の平均額が800万円以上3000万円未満で、かつその給与の額の割合が50%以下である場合 この規定は新会社法施行により、個人から法人成した場合に、個人事業者時代と法人になったときの税負担が公平でなくなるのではないかという理由から導入が急遽決定されたといわれています。 大企業には該当しませんが、中小企業にとってこの改正により与える影響は大きなものであり、制度の公平を期すという観点 から主宰者以外の同族役員にも範囲が広がっていく可能性もあり、法人税と所得税との垣根を取りはずした課税ではないかとの問題提起も出されており今後の展開が注目されるところです。
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