ものづくり補助事業 成果事例集
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栽培システムや自動カーテン、暖房設備、CO2発生機、細霧装置、これらを複合的にコントロールする環境制御装置を導入した。温度上昇を抑える一方、冷え込む夜間の放熱を軽減し、暖房コストを抑えることができた。また、細霧装置により細かい霧を発生させ、気化熱を利用した冷房や、湿度コントロールが可能となった。たが、必要な量を、必要な場所にだけ供給する仕組みが構築され、CO2施用の効率を大幅に改善できた。には、9月上旬に苗を定植する必要がある。この時期のハウス内作業は、高温との闘いである。当システムは、ハウス内の温度を下げることが可能であり、イチゴの生育環境に良いばかりか、作業者の負担軽減による作業効率の改善にも大いに役立つこととなった。今回の事業は、同園が有する高度な栽培ノウハウと、蓄積した各種データの分析をもとにした、まさに『次世代農業』の具現化である。ハウス内の気温、湿度、CO2濃度、日射量などをモニタリングし、品質や収量に与える関係性を研究することで、栽培技術の見える化を図ることができた。イチゴ栽培においては、長年の経験と勘に頼る栽培が主流で、技術の習得が新規就農の大きな障壁となっている。こうした中、栽培技術の見える化は、イチゴの生産性や品質を向上させる上で非常に重要なヒントとなり、既存の生産者はもとより、これからイチゴ生産を目指す者にとっても大きな手助けになるものと思われる。若い感性と行動力で、次世代の農業に挑戦する同園の萩田祐太郎氏は「農業の魅力や可能性を伝え、地域の農業を牽引できるような、未来志向の農園作りをしていきた い」と夢を語った。同氏は働きながら製菓学校に通い、本格的なジェラートの製法を習得。開業した店舗は、県内外から多くのイチゴファンが訪れ、賑わいを見せている。同園では、収量増加や品質向上を目指し、最新の養液ハウス上部に設置したカーテンの開閉により、急激なさらに、従来はハウス内全体にCO2を充満させてい需要の高い10月から12月にイチゴを出荷するため20ものづくり補助事業 成果事例最新の環境制御装置で生産性を向上さわやかな甘みが特徴の「しずかちゃん」と特製ジェラート取り組みの内容結  果県内有数のイチゴ生産者である同園は、最新の養液栽培システムや環境制御装置を導入し、収量増加、品質向上を目指した。長年の蓄積による栽培ノウハウと各種データを組合せ、次世代農業の実現を図っている。また、栽培技術の見える化により新規就農者の育成、雇用の創出、地域活性化を推進している。栽培技術の見える化を実現地域の可能性と未来志向の農園づくり▪具体的な事業内容ハウス内の環境を自動制御コスト削減や作業環境の改善も

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