ものづくり補助事業 成果事例集
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JAXAが定める宇宙日本食の条件には、宇宙飛行士のこれまでの宇宙日本食は、衛生面での安全性や栄養価そこで、同社では日本の家庭で通常食されている食味、レトルトパウチ食品の製造で最も重要な加圧加熱殺菌健康維持に必要な栄養素の確保や、常温で1.5年以上の保存が可能であること、HACCP認証工場で製造されていることなどがある。また、微小重力での食べやすさや、限られた調理施設を使って美味しく食べられることが求められる。などの機能面が重視されてきたが、昨今では嗜好性をより高め、宇宙飛行士の精神的ストレスの緩和に役立つ、より美味しい食品の開発が進められている。また、食べ応えのある「咀嚼感」を生み出すことに力を注いだ。その結果、完成したのが宇宙日本食『名古屋コーチン味噌煮』である。工程における冷却方式を「蒸気圧式」から「空気圧式」冷却方式に変更。これにより、急速な冷却が可能となり、野菜や鶏肉が柔らかくなりすぎることを防ぎ、食材本来の歯ごたえ、食感を維持することができた。同社では、最新の加圧冷却機能付殺菌機の導入に伴い、冷却時間と冷却温度がもたらす品質の相違に関する研究に力を入れた。この研究は、宇宙日本食の開発に限らず、既存製品の品質向上にもつながっている。また、冷却時間が短縮できたことにより、作業時間の削減が図られ生産性を向上させることができた。令和3年1月、JAXAによる工場立入検査などを経て「宇宙日本食」の認証を取得した。宇宙飛行士らの試食では、咀嚼感=食感について高い評価を得ることができ、宇宙日本食としての適性や宇宙基地での食べやすさの評価項目では満点という結果であった。令和3年には、ISS国際宇宙ステーションで星出彰彦宇宙飛行士が実際に同商品を食べている映像が、JAXAデジタルアーカイブスに公開された。石田社長は、「技術力が認められた証。社員のモチベーション向上につながり、人材の確保にもきっと役立つと思う。感動を詰める“感(かん)詰(づめ)”づくりを今後も続けていきたい」と熱く語った。新商品開発のアイデアが尽きない石田社長、現在、宇宙日本食第2弾の計画が進行中である。18ものづくり補助事業 成果事例急速冷却が可能な加圧冷却機能付殺菌機開発した宇宙日本食「名古屋コーチン味噌煮」取り組みの内容結  果レトルトパウチ加工のカレーやパスタソースなどを製造する焼津市の食品メーカー。食材の食味を損なわず、加工時間の短縮を可能にする加圧冷却機能付殺菌機の導入により、咀嚼感にこだわった宇宙日本食「名古屋コーチン味噌煮」を開発した。美味しさと技術開発への弛まぬ探求心により、感動が詰まった“感詰”づくりを目指す。より美味しい宇宙日本食を目指してカギは“咀嚼感”にあり▪具体的な事業内容「宇宙日本食」認証取得!食に感動を詰める“感詰”づくり

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