代わる材料として市場での需要が高まっている。特にコストや納期の面でガラスと比較して優位にあるため、アクリル樹脂への置き換えが進んでいる。こうした中、アクリル樹脂の切削加工では、加工後に表面が白濁化するという課題があり、通常はバフ研磨などの表面処理によって透明度を回復させている。しかし、同社が手掛けるような小径穴の加工では、穴の内側をバフ研磨することは不可能であり、これが大きな障壁となっていた。切削油の温度管理機能付きNC旋盤を導入し、「高圧切削油センタースルー方式」により、アクリル樹脂の小径穴加工における新たな技術の確立を目指した。この方式は、ドリルの中央から高圧切削油を供給することで、加工時の発熱を抑え、加工後の表面の白濁化を大幅に減少させる効果がある。従来の方法では行き届かなかった小径ドリルの奥深くまで切削油が行きわたるため、より精密な加工が可能となり、高い透明度を維持することができる。アクリル樹脂は優れた透明度と耐候性から、ガラスにそこで、本事業ではこうした技術的課題を解決すべく、本事業により、アクリル樹脂の小経穴加工において、高透明度、高精度な超精密加工技術を確立することができた。これにより、加工後の品質が大幅に向上し、高透明度の維持が可能となった。さらに、この新しい設備では切削加工時のグリス塗布が不要となったため、従来の加工方法と比較して工数が30%以上削減でき、コストも大幅に削減することに成功した。この結果、現在では他社が加工困難とする高透明度、高精度な製品への問い合わせが急増しており、同社の技術力向上とともに売上の増加を実現している。特に、医療、食品、光産業などの成長市場において、同社の技術がもたらす競争優位性はますます重要性を増している。このように、業界のニーズに応える形で製品の多様化を進めることで、市場でのポジションを強化している。今後は、医療用検体検査機器市場の拡大が見込まれる中で、同社の製品の販売を拡大していく方針である。さらに、新たな販路の開拓を通じて、市場ニーズに応えながら持続的な成長を目指していく。16ものづくり補助事業 成果事例導入した切削油の温度管理機能付きNC旋盤製造されたアクリル樹脂加工製品取り組みの内容結 果プラスチック切削加工を行う同社は、アクリル樹脂の高透明度、高精度加工のニーズに対応するため、切削油の温度管理機能付きNC旋盤を導入。本事業により、安定した精密微細加工を実現するとともに、生産効率の向上にも成功した。アクリル樹脂加工の技術的課題を解決するNC旋盤の導入▪具体的な事業内容加工技術の進歩と新たなステップへの着手
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