ものづくり補助事業 成果事例集 基金事業
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11養液の管理が十分に実施されないことの原因は、必要なセンサー端末の数が多く導入コストが高くなってしまう点にあった。これまで使用していた設備では、水温、水分量、残留塩素濃度等を測定するセンサーがそれぞれ独立しており、養液分析のために非常に多くのセンサーを導入し、それぞれ個別のシステムに接続しなくてはならなかった。これにより、必要なセンサー端末数が多くなり、システム導入コストが高くなってしまっていた。また、センサー自体の感度も安定しておらず、改善の必要があった。養液検査システムについても、統合型養液センサーに対応するシステムが当時存在しなかったことから、制御系の機器と併せて上位のシステムを開発する必要があった。上記の課題を踏まえ、同社はより安価に高性能の環境制御システムを導入する仕組みの構築を目指した。植物工場内の様子試作品開発の成果として、「統合型養液センサー」は使用するセンサーの数量の大幅削減を実現し、取り付けの工事費用等が大幅に削減された。また、「養液分析システム」に対応するクラウド型ウェブアプリケーションを開発した。これらの結合についても正常に作動することを確認した。本事業でこれらのシステムを開発したことで、これまで展開してきた植物工場事業者だけでなく、一般の水耕栽培事業者を新たな顧客として取り込むことができた。現在、日本農業再生の一環としてスマートアグリ(先端技術農業)が注目を浴びている。今回開発した養液センサーはスマートアグリに必要な要素をすべて備えており、同市場の発展とともにさらなる新規顧客開拓も見込める。また、植物工場という業態により、働きやすい環境での短時間労働が実現し、新たな雇用の創出効果も期待できる。独自の視点から農業に切り込んでいく同社の今後に注目したい。開発された統合型養液センサー具体的な事業内容複数の養液センサーを一体化した統合型養液センサーを開発し、養液分析システムと接続することで、より安価に高機能の環境制御システムを導入する仕組みを構築。植物工場及び水耕栽培事業者の生産性向上につながるサービスの提供を実現した。安価かつ高性能な環境制御システムの構築取り組みの内容導入コストの大幅削減新時代の農業改革に挑む結  果ものづくり補助事業 成果事例 5

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