ものづくり補助事業 成果事例集 基金事業
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9事業を行うにあたり改善目標となったのは、加工品質の安定、作業者の安全性の向上である。半自動で行っている溶接は作業者のスキルによって仕上がりにばらつきがあり、品質にムラが出てしまうことから、製作した鉄骨の返品要因となっていた。また、手作業であるため確認事項が多いことや、人手が必要であるがゆえに昼休み中に稼働させることができないことから、生産の効率化が進まずにいた。さらに、溶接作業において金属を溶かし接合する際に発生する“溶接ヒューム”と呼ばれる白い煙が人体に有害であることから、一部作業員に負担が集中することで、健康被害が発生してしまうという懸念もあった。これらの課題を解決するため、自動溶接ロボットを導入し生産効率及び品質の向上を目指した。導入した自動溶接ロボット新たに設備を導入したことで、溶接工程における加工時間の短縮及び作業者によって発生する品質のばらつきの解消が実現した。加工を行った際の品質が安定したことで返品が無くなり、資源・材料の節約にも繋がっている。また、溶接の際に必要な平均電流を下げつつ高い溶着速度での溶接が可能になったため、エネルギー消費量の低減に繋がった。溶接にかかる時間が短くなったことで溶接ヒュームの発生量を大幅に減らすことができた。さらに、事前にデータを入力しセットすれば誰でも加工ができるようになったため属人化が解消された。同社の営業エリアにおいて自動溶接機を導入している企業はまだ少なく、他社との差別化にも成功した。妥協を許さず、より高い品質での溶接を追及していく同社の挑戦に今後も注目したい。自動溶接ロボットにより制作された鉄骨及びその接合部具体的な事業内容三渡工業株式会社はこれまで高品質な鉄骨溶接加工を行い高い信頼を得てきたが、手作業であるがために生産の遅れや品質のばらつきが生じていた。この手作業で行っている溶接工程を自動溶接ロボットを導入することにより、さらに高品質な溶接加工の実現を目指した。様々な課題を解決するため自動溶接ロボットを導入取り組みの内容溶接作業の大幅な改善さらなる技術の進化を目指す結  果ものづくり補助事業 成果事例 4

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