ものづくり補助事業 成果事例集 補助金事業
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5板材に金型(パンチ)を押し込むことで、1枚の板材から容器状の製品をプレスする「絞り加工」は、成形品につなぎ目がなく、少ない工数で複雑な製品をつくることができる。絞り加工の仕組みは、成形したい製品の形状に沿った下側の金型(ダイ)と、それに圧力を加える上型の金型(パンチ)で素材を加工する。その際、素材の端部で発生するしわを抑えるため、素材をダイに押し付ける用途の板(ブランクホルダー)を使用することとなる。加工の深さを求めようとすると材料の板厚が増すため、強度を上げるために素材を押し付けるブランクホルダーを充分にとって金型を大型化しなくては、しわ・割れのない綺麗な仕上がりにすることができない。しかし、同社で保有するマシニングセンタは加工サイズに限界があり、ニーズに応じた金型の製造が困難であった。また、絞り加工は奥が深くなるほど板厚が減少する性質があるが、現行機ではメーカーからの標準規格である板厚減少25%以内の基準を満たすことができなかったため、マシニング加工の対応サイズ拡大と加工後の板厚の均一化を目的に新たな設備を導入した。導入した立形マシニングセンタ設備の仕様について、「深い絞り加工時の板厚保持」と「大型金型の加工」を可能にするという同社の技術的な課題を解決できる設備機械を社内で検討し、立形マシニングセンタを導入した。設備の導入にあたっては、生産効率化のため社内レイアウトの見直しも行った。導入後は、試運転とともに事業目標の検証を実施。導入前は深さ130mmが限界であった絞り加工が180mmまで拡大した。また、メーカーが要求する深い絞り加工時の板厚減少25%以内の基準を実現し、設定した成果目標をすべて達成した。本事業に取り組んだことで取引先からの評価が高まるとともに、これまで引き合いのなかった新たな業務の受注につながった。また技術を蓄積したことで、プレス機を用いてパイプの拡管加工を行うコンパクトな拡管機(パイプエキスパンダー)を自社製品として開発するなど、新たな展開に取り組むきっかけとなった。同社の強みである難加工素材に対する絞り加工技術・金型の設計提案力を活かして、国内の自動二輪車及び自動四輪車産業に貢献していく。同社金型で加工した製品例(左)と自社製品の拡管機(右)具体的な事業内容自動二輪車部品メーカーから需要がある難加工素材における複雑かつ高品質なプレス部品の成形を可能とする「大型金型」の製作に対応するべく、新たに立形マシニングセンタを導入した。メーカーの要求する基準・成果目標を達成し、同社の絞り加工技術の高度化に成功した。今後はさらに事業を発展させ、市場の拡大を目指す。ニーズへの対応。新たな技術の確立に向けた設備の導入取り組みの内容成果目標を達成しさらなる発展を目指す結  果ものづくり補助事業 成果事例 2

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