ものづくり補助事業 成果事例集 補助金事業
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21同社の缶詰ラベル包装業務は、ラインに配置された社員が担当して作業する体制となっている。ラインには、熟練工が缶の形状に応じて機械をチューニングしながら進める工程があり、熟練工の不在時にはラインを動かせないこともある。その対策として確立している緊急時対応ラインは完全手作業によるもので、処理能力に限界があった。そこで、これまで熟練工の技術に依存していたチューニング作業を自動化させたラベル貼付機を導入。ラインの増強に加えて、手作業ラインの稼働を極力少なくすることで生産量の増加を図った。増加する受注に対応するには熟練工がラインに張り付かなければならず、他作業に時間を割り当てられずにいた。導入後は熟練工がラインに張り付く必要がなくなるため、兼任や若手作業員への指導が可能となり、生産ラインの効率化や急務となっていた若手技能者育成の効果も期待できる。こうした生産体制の改善により加工精度が向上することが見込まれ、取引先に対する信頼性向上につながることとなる。導入した半自動ラベラーチューニング作業を自動化させたラベル貼付機を導入したことで、これまで専任で対応していた熟年作業員の他部署への配置転換や他作業との兼任が可能となった。これにより、熟年作業員による若手作業員への作業技術の指導が進められるとともに、工場全体の工程管理体制が構築され生産ラインの効率化が図られた。また、1日当たり700ケースの増産と生産量も大幅に向上した。さらに、作業精度のばらつきの解消により不良品が3パーセント削減され、納期は平均で9日間短縮された。同社は創業時から、静岡県の地場産業ともいえる缶詰生産の最終工程であるラベル包装業務に取り組んできた。中でも1号缶のラベル包装業務は同社しかできず使命感を持って行っている。今回の事業による1号缶ラベル包装業務の継続は、缶詰製造業務に関わる多くの企業を守ることにも繋がっており、今後も同社の取組みに注目していきたい。一部自動化されたことで難しいチューニング作業が不要となった具体的な事業内容熟練工の作業を自動化する製造設備を新規に導入。ライン増強により製造能力を大幅にアップさせるとともに、作業精度を向上させた。さらに生産性向上により生み出された時間を若手への技能伝承に充当し、持続可能な生産体制を構築。地場産業の活性化に寄与する。新設備導入により生産体制の改善を図る取り組みの内容生産能力向上と若手技能者育成により地場産業を守る結  果ものづくり補助事業 成果事例 10

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