ものづくり補助事業 成果事例集 補助金事業
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15取引先からの要望もあり、同社ではピアノブラック塗装の量産体制を確立すべく事業に取り組むことになった。量産体制を確立する上で、課題となっていたのは、技術者による手作業のため、「超精密の量産体制の確立が困難である点」、「不良発生率が約5%ある点」、「塗布ムラに厳しい製品に関しては目視での不良検査に時間がかかってしまう点」であり、改善は急務であった。こうした課題解決に向け、同社では、旭サナック㈱製スプレイ・トレーサー・テーブルパッケージ、川崎重工㈱製スプレイトレーサー対応ロボット塗装装置を導入した。4台のカメラとスプレーガンに取り付けられたセンサーで熟練技術者が実際に塗装を施したスプレーガンの移動情報、噴霧量などの様々な塗装条件を記録し、データ化を行いロボットに反映することができる。これにより、最も膜厚差が少ない製品を塗装した時の塗装情報をデータ化し、ロボットで再現することができるようになった。導入したロボット塗装機により生産性が向上補助事業においては、導入したロボット塗装機が、熟練技術者の動きを再現できるかを確認するテストを実施した。テストの結果、塗料塗布における膜厚差について、平均10㎛から目標である平均5㎛以下を実現することができた。加えて、ロボットによる塗装はクリーンルームで行うため、塵や埃の付着が減少した。製品不良率は5%から2%まで低下し、生産体制が整ったことから取引先からの要望であったピアノブラック塗装を受注できるようになった。このように同社では、塗装工程の機械化を進めたことで、品質の均一化、生産性の向上、技術向上による競争力強化の3点を達成することができた。今後同社は、塗装技術の共有化や技術伝承を行い、高度な塗装技術による競争力強化により、さらなる受注の拡大を目指す。ロボットにより塗装された製品具体的な事業内容高度な塗装技術を要するピアノブラック塗装に対応した生産体制を確立するべく、熟練技術者の作業をデータ化し再現するコンピュータ制御の塗装用ロボットを導入した。その結果、塗膜厚の精度を約5㎛で安定させるとともに不良率を2%に低減することに成功し、品質や生産性の向上など競争力強化に繋がった。技術的課題を解決するロボット塗装機の検証取り組みの内容塗装精度の劇的な改善新たなステップへの挑戦結  果ものづくり補助事業 成果事例 7

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