ものづくり補助事業 成果事例集 補助金事業
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13高品質ヘッドフォンのイヤーパッド製造に対応できる企業は国内においてはほとんど存在せず、その生産体制を有していることが同社の大きな強みである。国内工場におけるイヤーパッドの製造プロセスは、手作業も含めて約20の工程に区分されている。この中で、素材の裁断関係工程は熟練工の手作業に頼っているが、顧客が求める水準に対応できる人材が限られていることもあり、全体の工程の中で裁断関係工程が最も滞る機会が多い。また、繁忙期には熟練工が他工程を兼任して対応するため、平時と比較しリードタイムが延長するなど生産性が低下する要因となっている。人材の高齢化も課題となっていることから、当該工程の改善が急務であった。こうした課題を解決するため、本事業で自動裁断機を導入し、裁断関係の工程である「裁断+型入れ+マーキング」の3つの工程を自動化して1つの工程に集約することができるよう生産工程を改善。裁断関係工程の自動化によるリードタイム短縮や不良率の低下、余剰人員となる裁断専属作業員の配置転換に取り組んだ。導入した自動裁断機複数枚の生地を一度にかつ自動で裁断できる自動裁断機を導入したことで、裁断までの複数工程を集約することに成功。従来30日要していたリードタイムは24日に短縮されるとともに、生産能力も従来比で約25%の増加となった。手作業による品質のばらつきも解消され、加工精度が向上。その結果、不良率は低下し、コスト削減と製品の品質向上につながった。さらに、今まで裁断工程に専任で対応していた作業員は、他部署への配置転換や兼任作業員とすることが可能となり、工場全体の工程管理を任せることで、生産ライン効率化の一助となっている。事業終了後は、CAD導入による製品のデータ化により、試作開発段階において顧客ニーズに対してきめ細やかな対応が可能となった。また、高級ヘッドフォンの市場ニーズに対応するため、引き続き人材育成に力を入れ、将来的なエンジニアとなりうる技術社員を育成している。一新した生産体制を武器にさらなる需要拡大を推し進めるとともに、海外に生産が移行しつつあるイヤーパッド製造の国内回帰を図っていく。CADにより裁断工程が自動化され作業時間が大幅に削減具体的な事業内容国内の大手音響メーカーから高級ヘッドフォンのイヤーパッド部分の製造を請け負う同社では、裁断工程における「熟練工の手作業」が生産効率化の課題となっていた。本事業では、自動裁断機を導入し、関連する3つの工程を集約・自動化することで、リードタイムの短縮や不良率の低下を達成し生産性を向上した。熟練工の手作業による3つの工程を集約・自動化取り組みの内容リードタイム短縮・コスト削減等生産性の向上を実現結  果ものづくり補助事業 成果事例 6

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