ものづくり補助事業 成果事例集 補助金事業
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11従来から同社で使用していたパイプベンダー(管・パイプを常温で扁平することなく曲げるための機械)は、小径の8mmまでのパイプに対応しており、肉厚の大きい配管や高強度材料の曲げ加工はできなかった。そこで、本事業では大径の15mmまでのパイプを加工できるCNCパイプベンダーを導入。従来機で曲げることができない配管の曲げ加工を可能とし、また同時に、材料を自動供給する装置及び曲げ完成品を排出するマテハンロボットを導入することで工程の自動化を目指した。ワークの曲げ送り機能については従来よりもばらつきの小さい方式を採用するとともに、材料供給時のストッパへの突き当て確認方法について、人による目視確認であった作業を、接触式センサーを使用することで突き当て不具合による曲げ寸法不良を防止。また、曲げ方向が決まっている配管については、画像センサーで向きを判別することで逆方向にセットされたワークが加工されないように設定した。さらにパイプを曲げる際に塗付する油についても、作業者の刷毛からオイルジェッターに変更するなど、自動化による安定した加工・製品の精度向上を図った。同事業の実施を担った営業技術課の遠藤卓也係長機械導入後、試作テストを実施し、材料の自動供給、ロボットによる加工品排出が問題なく稼働することを確認した。効果検証の結果では、加工精度について、従来は人由来による寸法で生じていたばらつきが、パイプセット確認センサーの導入により±0.3mmまで精度が向上・安定化した。また、上記のセンサーによるセット不良の防止に加え、画像センサーにより誤加工が防止されたことで不良発生はなくなり、歩留まり100%を達成した。さらに自動化に伴い品質の安定化が図られたことで、従来行っていた品質の全数検査を廃止することが可能となった。自動化及び工程改善の結果、作業時間は年間1,920時間から144時間に削減する見込みが立った。事業実施後は、強度の高いステンレス管や鋼管などの曲げ加工を行う生産体制が整った。また、自動化で生じた余剰人員を付加価値の高い業務に再配置するとともに、従来請け負っていた小ロット多品種生産の案件については、同機の使用で作業の効率化が図られるなど、企業全体の生産性が向上し、業界での優位性が高まった。同社の製品例具体的な事業内容環境負荷低減を背景とした空調機器の新冷媒採用による規格変更とコンパクト化に伴う高精度への品質要求に対応するため、最新型CNCパイプベンダー設備を導入。工程の自動化・高度化に取り組んだ。これにより作業時間削減や精度・品質向上が図られ、企業の付加価値が向上。新たな生産体制で多様な市場ニーズに対応していく。新規格に対応する機械の導入と自動化による生産性向上取り組みの内容加工精度向上・歩留まり100%で作業時間の大幅な削減に成功結  果ものづくり補助事業 成果事例 5

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