ものづくり補助事業 成果事例集 補助金事業
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9当時使用していた「蒸煮機」は、バッチ式(開閉式)で蒸煮機に台車を入れる際、1台ごとに扉を開閉しなければならなかった。台車の交換に時間を要することに加え、蒸気漏れによる作業室内の温度調整が必要となり、時間当たりの生産能力は依頼された生産量には遠く及ばなかった。この課題を解決するために導入した「連続式蒸煮機製造ライン」は、ライン全体が蒸し器となっており、コンベアで製品を移動させながら蒸していく仕組みになっている。これまでのように扉を開閉する必要が無いため、蒸室内と作業室内の温度の変化を最小限にとどめることができる。また、台車交換に要していた時間も削減できることから、生産能力はこれまでの2倍以上となった。蒸し物製品を製造する際に重要となるのが、安定した蒸気量による製品加熱である。同社はそのノウハウを蓄積しており、当初より蒸し技術は高い評価を得ていることから、その技術が新たな設備にも活かされた。導入した連続式蒸気製造ライン自動で蒸気の入排出が調節されるため蒸室内温度はほぼ均一を保っている事業実施により、作業環境も格段に改善された。「連続式蒸煮機」は、機械上部のダクトから蒸気を工場外へ排出する仕組みとなっているため、作業室内が蒸気の影響を受けにくい。これまで31℃にまで上昇していた作業室内温度を17℃にとどめることができた。また、1時間当たりの生産量はこれまでの2.6倍となり、依頼のあった大量生産に対応する「蒸し煮」工程の改善を図ることができた。さらに、ばらつきのない製品を製造するには、製品を蒸す温度が均一であることが重要となるが、これまでの蒸煮機は製品を置く位置によって温度に差が生じていた。新たな製造ラインは入り口から出口までが均一の温度となるよう改善されており、安定した品質製品の製造という点においても効果が出ている。取り組みの結果、顧客からの要望への対応の幅が広がり、さらなるアウトソーシングニーズを引き出すことに繋がっている。今後は、IoTやロボット技術も積極的に導入し、さらに高まる冷凍食品の消費ニーズを満たす新商品を提供していく。具体的な事業内容水産加工品製造を行う同社では、温度管理技術が重要となる蒸し物製造において高い評価を受けている。同社が培ってきた温度管理のノウハウを活かし「連続式蒸煮機製造ライン」を導入。製造工程の効率化と製造時間の短縮により生産量増大を果たす。連続式蒸気製造ラインの導入で製造能力アップを図る取り組みの内容受注拡大に向けて前向きな設備投資を検討結  果ものづくり補助事業 成果事例 4

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