特 集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 




 〒431-1209
 浜松市館山寺町2003-2 
理事長:新村 祥一
組合員:24名
出資金:1,200千円
TEL:053-487-1116
FAX:053-487-1117


遠州灘ふぐ調理用
加工協同組合

遠州灘の天然トラフグ・
ハモで新ブランド誕生





▲加工場でフグの皮や内臓を取り除く

遠州灘は屈指のふぐ漁場

 “花博”需要で浜名湖周辺が近年にない賑わいを見せている。
 地元観光業界は、これまでの客数減少に強い危機感を抱き、花博開催の一年程前から花博に向けて、かつ“ポスト花博”をにらんで、観光客誘致への新たな取り組みを展開している。その中心が遠州灘で捕れる天然トラフグの産地ブランド化である。
 遠州灘は十五年程前から天然トラフグの漁獲高が大幅に増えいまや日本屈指の漁場。しかし水揚げした大半が山口県のふぐ加工場に送られ、多くが下関産の最高級の天然トラフグとして全国に流通されていた。
 こうした状況に新村理事長は「十数年前から浜名湖周辺でフグの皮や内臓を取り除く施設を造りたいと考えていた。行動を起こすには今をおいてないと昨年、冬の温泉を売り出すのにフグをやらないか、加工場を自分たちで造ろう、と呼び掛けた」と組合設立のきっかけを語る。
 「せっかく地元で捕れる最高級の食材を、郷土の特産品として地元で提供していきたい」との意気込みで、舞阪漁港のふぐ漁組合連合会、市場関係者と交渉を開始した。
 話を進めた結果、地産地消の試みに漁港サイドの賛同を得て仕入れの目途がつき、併せて加工場の場所も確保できたことから館山寺温泉のホテル、旅館を中心とした十八施設で、平成十五年十一月、組合を設立した。


マスコミも盛んに取り上げ

 組合ではふぐ漁の期間、舞阪漁港から直接買い付け、加工場で一括加工、安価で組合員に供給する。組合員は研究してきた「フグ尽くしメニュー」を浜名湖新ブランド「遠州灘天然トラフグ」として宿泊客らに提供。シーズン中は述べ二万人に近い人が約九トンのフグを食した。
 この新ブランド化への取り組みは、地元マスコミでも盛んに取り上げられ「うなぎ」に続く特産品として注目を集めた。
 浜名湖周辺の旅館を中心に組合員も増えつつあるが、水揚げ量の少なさなど課題も多い。理事長は「水揚げ高の減少、他産地からの買い付け等で仕入価格が上昇。組合員へは下関発に比べ流通費のカットなど約三千円ほど安い一キロ八千八百円(変動なし)で卸している。組合としては価格的には厳しい状態。水揚げも十四年度が七○トン、十五年度三○トン、十六年度は二○トン程度で、組合の取扱量も七〜七・五トン程度と思われる。この程度では観光の活性化には少ない。水揚げ量は五年サイクルと言われ、十七年度に期待している。ブランド化には十八トンは取扱いたい」と言う。



中小企業静岡(2004年9月号 No.610)