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クローズアップ
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現場改善意識が大事
―お二人とも、静岡は初めてとお聞きしていますが、印象はどうでしょう?
森井 やっぱり浜松はモノ作りの町“やらまいか”の町ですね。世界を相手にしている立派なメーカーさんがたくさん活躍しています。生産現場でお話をお聞きしますと、経営者も他力本願でなく自力本願のタイプの人が多いですね―。
―やっぱり、スズキやヤマハ、ホンダといった一流企業の取引先が多く、厳しい環境の中での絶え間ない努力でレベルアップが図られているんでしょうね。梅田支店長は、どうでしょうか?
梅田 伊豆の温泉、沼津の機械部品、富士の製紙などがありますよね。私は福井の出身で北陸の温泉には昔から非常になじみがあります。昔のいいときを知っているものですから、温泉を特色にしている地域の厳しさを実感します。
ただ、東京のホテルで一泊に十万円以上使う人もいるんですね。重要なのはお客様に満足する空間や時間をどのようにして売るのか?だと思います。また我々金融界も含めサービス業は、日本の強いメーカーさんのコスト削減と品質管理の知恵をもっと見習わなくてはいけないと思っています。
倒産した企業から借り入れ申し込みが(?)
―実際のお取引の中で、印象的な事などありましたら?
森井 そうですね…。たしか一昨年の十二月頃かと思うのですが、長岡(支店)の頃に、法的整理を申し込んで倒産した取引先から借り入れの申し込みがあったんですよ。破綻企業に対する事業再生に必要な資金の貸出、いわゆる“DIPファイナンス”の申し込みです。地元銀行が時期尚早であるとして支援見送りを決定する中で、支店の担当ラインが悪戦苦闘して調査した結果、計画通りの再生が見込まれ地域経済にも貢献すると認められたことから、当金庫単独で融資に応じることとしました。事業再生途上の資金調達パイプが広がったとしてお客様から大いに喜ばれました。今もその企業は計画に沿って事業継続中であると聞いています。
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金融マンの指針の確立
―梅田さんはどうですか?
梅田 私は二十代で当金庫に入行してすぐの頃、昭和六一年頃ですか。担当していた電炉メーカーの工場を見学していた時に、工場長の方から、製造ラインの中では、溶けた釜の鉄を圧延に移す作業が難しく、取扱いを間違うと電炉の釜が破損の原因となり、損失をこうむる可能性があるということでした。そのため高炉メーカの技術者や大学教授の方々にも技術顧問をお願いして、技術改善を進めているという説明を受けました。事務所で話を聞くだけでは簡単に思える工程が、高温の溶けた鉄の場合は非常に難しくなるということを実際の現場で説明を受けて初めて理解しました。金融マンとして、考え方の指針みたいなものがこの時にできた気がします。聞くだけ、読むだけでは本当に理解できません。本当は実際に自分の目で見て確認することが重要ですよね。今はお客様の工場を極力見るように努めています。
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