役場の自慢話 
関所が語る今昔
海が育む四季の味「新居町」

 

 静岡県西の玄関口「新居町」。
新居町の歴史や文化、そして四季折々の味覚について、同町産業振興課の長田さんにお話を伺った。

 新居の関所といえば入鉄砲に出女という言葉を思い出します。

     「入鉄砲に出女というのは、鉄砲の出入りと、江戸に人質として捕られていた外様大名の縁者が国に逃れないよう厳しく取り締まったことからつくられた言葉なんです。この関所は、浜名湖と太平洋が接する今切口のほど近くに、徳川家康が1600年に設置しました。この地名から、今切関所とも言われています」

 今は、町の中央にありますが…

     「地震や津波で、1707年に現在の場所に移築されたんです。昭和46年には、解体修理が施され、現在では全国で唯一、当時のまま現存する関所建物として知られています」

 毎年10月には、関所まつりが開催されるそうですね。

     「まつりの目玉は、なんと言っても子供大名行列でしょう。これは、新居の歴史を体験してもらおうと、平成3年から行われている行事で、町内の小学校6年生全員の約200人が奴や侍などに扮装し、参勤交代などの様子を再現するものです。また、町内の有志でつくる関所改め劇保存会が、関所の境内を使って当時の様子を再現した寸劇を披露します」

 ところで、浜名湖では四季を通じて釣りを楽しめると伺いました。 

     「そうですね。秋は、ハゼ、キス、カワハギがよく釣れます。この冬場には、カレイやアイナメ、カサゴなどが狙い目ですね。浜名湖河口にある海釣公園には、毎年、大勢の人が訪れ釣りを楽しまれます」

 

 浜名湖という素晴らしい自然に恵まれた新居町。うなぎ、車エビ、あさり、カキ…。ここでは、美食家には応えられない海の幸を折々の季節の中で楽しむことができる。
 腹を満たし、関所を訪ね、歴史の足跡をそっとのぞけば、往事の素朴な風が潮の香りとともに旅人を包んでくれる。

▲「新居の関所」は江戸の交通を今に伝えている。
▲新居の歴史を再現する
「子供大名行列」

中小企業静岡(1997年12月号 No.529)