お知らせ  組合法、団体法の一部を改正する
法律案、可決成立

主な改正点
A員外利用制限の緩和
B新分野進出への支援

 

 政府は、「中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案」を、13日、国会に提出。11月6日の衆院本会議、また11月19日の参院本会議で可決した。
法律ができるまでのフロー
(※衆議院先議の場合)

※衆・参両議院の議決が異なった時は両院協議会を開くか、衆議院に回布し、3分の2以上の多数で再議決する。
 この法律案の主な改正点は、組合が施設を活用して行っている事業についての員外利用制限の緩和新分野進出への支援の、2点。
 「員外利用制限の緩和」については、組合員の脱退等のやむを得ない事由から、組合施設の利用率が低下し、組合の事業運営に著しい支障がある場合に、行政庁の認可を前提に、通常の員外利用制限比率(20/100まで)を超えて(200/100まで)組合員以外の者にその事業を利用させることを可能とするというもの(※員外利用比率=組合員以外の者の利用分量/組合員の利用分量)。
 一方、「新分野進出への支援」については、組合員が新分野に進出しようとする場合、組合がこれを円滑化するための事業を行うことができることを明確化している。
 中小企業政策審議会組織小委員会では、9月30日、「今後の中小企業組織化政策の在り方について」と題する中間報告をとりまとめた。
 この中で、緊急に対応すべき課題として、遊休資産の活用、新分野進出への支援、空き店舗の活用の3項目について、法改正を含めた早急な対応を行うべきとの考えが示され、これを受けるかたちで、この法律案が国会に提出されたわけである。
 なお、組合員等が有する空き店舗を商店街の組合が活用して店舗事業を行うことを旨とした「空き店舗の活用」については、現行法の中でこれを行うことが可能であるという判断から、通達の中で明確化される予定だ。
 この中間報告の中で、まず組合制度の見直しの必要性については、「中小企業問題が多様化する中で、我が国の中小企業組合制度がその能力を十分に活用し、解決を図ることが可能か検討する」とともに、「法律改正をも含めて検討することが適当である」と指摘。
 そして、ポイントとなっている遊休資産の活用については、「経済環境の変化により、やむを得ず生じた遊休資産により、組合の経営が危機に瀕している場合等については、組合がその経営的基礎を回復させるための自主的な努力を行うことを可能にするため、組合が一定の期間自由な経済活動を行うことを認める必要がある」と位置づけている。
 また、全国の組合の33%で遊休資産が発生し、さらにその39%の組合でこれが原因で近い将来解散を余儀なくされる恐れがあるという中央会の調査結果を引用し、「組合が非組合員に通常の員外利用制限比率を超えて賃貸等を行うことが可能となるように法改正を行うことが喫緊の課題」であると明記した。
 一方、新分野進出への支援については、組合が行うことのできる事業の範囲は「組合員の既存事業分野に限られる考えが支配的」であり、「組合員が新事業分野へ進出することを組合が支援することは、本来の組合制度からは許容できないとの考えも根強く存在する」と分析している。
 こうしたことから、この中間報告では、「少なくとも、組合員の新分野進出を円滑化するための事業を組合が明確に行えるよう法制上の手当てを早急に行う必要がある」とした。
 今回の法律案で、法律のどこが変わるのか。協同組合法でみてみると、主に2カ所に条文の追加が見られる。
 1点目は、法の第2節「事業」の第9条の2(一般事業)での条文追加である。
 この条文では、協同組合が行える事業を規定したもので、ここに新分野進出への支援に関する事業の規定として、
「組合員の新たな事業の分野への進出の円滑化を図るための新商品若しくは新技術の研究開発又は需要の開拓に関する施設」という規定を追加することとしている(合わせて、9条の9(協同組合連合会)にも同様の規定を追加)。
 2点目は、員外利用制限の緩和であるが、これについては、9条の2の3として次の条文が加わる(協同組合連合会についても、9条の9で以下の規定を準用する)。
「事業協同組合及び事業協同小組合は、その所有する施設を用いて行っている事業について、組合員の脱退その他のやむを得ない事由により組合員の利用が減少し、当該事業の運営に著しい支障が生ずる場合において、省令で定めるところにより、第9条の2第3項ただし書に規定する限度を超えて組合員以外の者に当該事業を利用させることが当該事業の運営の適正化を図るために必要かつ適切なものとして、期間を定めて行政庁の認可を受けたときは、同項ただし書の規定にかかわらず、一事業年度における組合員以外の者の事業の利用分量の総額の当該事業年度における組合員の利用分量の総額に対する割合が100分の200を超えない範囲内において、組合員以外の者に当該事業を利用させることができる。」
 またこのあとに、適切でないと認められるときには、認可を取り消す旨の条文も追加される。
※商工組合についても、同様の主旨で条文が追加される。

中小企業静岡(1997年12月号 No.529)